ハダノ元教頭が GIGAスクール と DX人材育成 について考えるブログ
一般的には、DX(デジタルトランスフォーメーション)は、「データとデジタル技術を活用したビジネス変革」とされている。
DXを進めるには、まず、「CX(顧客体験)の向上」「EX(従業員体験)の向上」「DX人材の育成」の3つがポイントと言われている。
教育へのデジタル技術の活用はこれまでも行われてきた。それが「教育の情報化」。
教育の情報化は、①学習へのICT活用、②校務の情報化、③情報活用能力の育成 の3つの柱で取り組まれてきた。これをDXの3つのポイントに対応させると以下のようになる。
①学習へのICT活用(CXの向上)
②校務の情報化(EXの向上)
③情報活用能力の育成(DX人材の育成)
教育DXは、これで終わりではない。教育を変革し、育った人材がやがて社会を変革することをめざす。「教育の情報化」の進化形であり、「データとデジタル技術を活用した教育変革」と言える。「GIGAスクール構想」もこの流れの中にある。
ハードウェアやネットワークの整備に追われ、ソフトウェアまではなかなか手が回らない自治体が多い。タブレットの種類ごとに専用のアプリをそろえることになるが、有料のものが多い。調べ学習、成果物作成、ドリルなどの自習用アプリが多い。授業でリアルタイムに対話的・協働的に使えるアプリは、意外に少ない。
そこで、専用アプリではなくWebアプリとして授業配信アプリ「ソックリッカー」を自作した。ネットさえあれば、機種を問わず無料で使える。
大学では、講義を対話的にするためにリモコン型専用端末「🔗クリッカー」が普及した。そのソックリ版が「ソックリッカー」。 PCやタブレットなどのネット機器さえあれば、簡単に授業を対話的に変身させられる。インストール不要の無料Webアプリとして作成した。
遠隔教育対応の機能も追加し、GIGAスクール時代の授業改善アプリとして進化中。 → 🔗 ソックリッカーの基本的な使い方 → 🔗 ソックリッカー親機【デモ】 → 🔗 ソックリッカー子機【デモ】 → 🔗 ソックリッカー復習【デモ】
・離れていてもネット機器だけで簡単に対話的な授業を実現できる。
・忘れたころに思い出させることで学習効果が高まる。
・同調圧力なしで素早く生徒全体の見取りができる。
・視覚的な説明(プレゼンテーション機能)や子どもたちの考えの可視化・比較(ホワイトボード機能)に役立つ。
まずは、勤務時間管理から
→ 🔗校務PCによる勤務時間取得システム
〇〇教育がどんどん持ち込まれ、カリキュラム爆発を起こしている。創造的な取組をしたくても授業時数の確保が困難。例えば、文化祭の学年劇をコロナ禍で断念したとき、かわりに何をするか。全校壁画づくりならば、卒業式・入学式のステージ画と兼ねられる。ドット壁画ではなく、ぬりえにすれば、団結力と文化的な力を高められる。
人権という視点では、 新指導要領の汎用的な資質・能力である「協働的課題解決力」を育成する「全国集団づくり」ととらえることができる。「生徒会活動でいじめの起こらない集団に」というスタンスで、全校ぬりえメイキングの様子を盛り込めば いじめゼロCMも作れる。特色ある学校づくりにもなり、情報化校内研修も同時にできる。人権教育の研修会でこの取組をレポート提案すれば、新たに作らずに済む。若手教員に挑戦させることによって、ステップアップ研修をはじめとする人材育成も兼ねられる。
生徒の考えた原画をぬりえ化し、お手本とぬりえ用紙を全校生徒用に分割印刷する作業はプログラムで自動化すればよい。ぬりえづくりのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)なので nuRpa(ヌルパ)と名付けた。
加速度的に変化する社会を生きる子どもたちに情報活用能力を体系的に育む「情報教育」は特に重要。
情報教育は、「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」の3つをバランスよく身につけさせることを目指している。
情報モラル・セキュリティ等の「情報社会に参画する態度」は、「豊かな心」・「生きる力」につながる非常に重要なもの。 → 🔗ネット社会と部落差別 → 🔗セキュリティ人材不足 → 🔗LINE から乗り換えを!
この教材がおすすめ → 🔗ネット社会の歩き方
プログラミング教育は、新学習指導要領によって小学校で必修化、中学校で倍増された。
・プログラミング教育とは、子供たちに、コンピュータに意図した処理を行うように指示することができるということを体験させながら、将来どのような職業に就くとしても、時代を超えて普遍的に求められる力としての「プログラミング的思考」などを育成するもの。
・プログラミング的思考とは、自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力。
・プログラミング教育で育成すべき資質・能力
>身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。【知識・技能】
>発達の段階に即して、「プログラミング的思考」を育成すること。【思考力・判断力・表現力等】
>発達の段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。【学びに向かう力・人間性等】
・これまでカップ麺しか作ったことのない人に、本格的な料理は作れない。指導書に方法が載っていても、調理実習の授業をさせるのは酷と言える。同様に、プログラミング経験のない教員は、生徒にプログラミングを教えられない。プログラミング体験ならともかく、プログラミング的思考を育成させようとするのは酷と言える。
・Scratchなどによる ビジュアルプログラミング(小学校) → JavaScriptなどによる テキストプログラミング(中学校)の段差は、三輪車 と バイク ぐらいあり、ステップアップが難しい。
・電動アシスト自転車 のようなものがあれば、段差が緩和される。コードを書かずにアプリ操作を自動化でき、少しコードを書けば凝ったこともできるという「ローコードプログラミング」がもっと普及すればよい。ただ、プログラミング的思考が不要になるわけではない。
・2021年度から中学校プログラミング教育が大きく変わった。従来の「ディジタル作品づくり」から、「ネットワークを利用した双方向性のあるコンテンツのプログラミングによる問題の解決」となった。そのためには、ネットワークがらみのプログラミングが必須となる。プログラミング環境構築の困難さに加え、通信の遅れを考慮した非同期処理・競合解決、セキュリティ対策、OS・ブラウザ・言語の多様性への対応も必要となり、かなりハードルが高くなる(→ 🔗「ネットワーク」に「双方向」!? 倍増するプログラミングの学習内容に中学校の現場はどう対応するのか)。
・これに対応する教材はたいへん少ないのが現状。技術の教科書にある5つの実習例は、どれも深刻な問題を抱え、実施も評価も困難と思われる。高い理想に現実が追い付かず、このままでは、ほとんどの中学校で「未履修問題」が発生してしまう。「技術は、入試教科じゃないから適当に…」などと言っていられなくなった(→ 🔗共通テスト「情報」正式決定 25年から―文科省)。
・ITエンジニアからも「教えられる先生はいるのか?という課題」が指摘された(→ 🔗中学校の技術科の教科書(情報分野)が進歩していた件)。🔗注目度の高い科学技術論文数でインドに抜かれ10位に転落した日本、人材育成は喫緊の課題。
・ソックリッカー制作の経験を活かし、最新技術をふんだんに取りいれて作ったのが SocSaga(ソックサーガ)。ローコードなので専門知識不要、「ディジタル作品づくり」+α で取り組める。5つの実習例とは違い、個性が出せるので評価しやすく、共同制作もできる。
・他教科や行事のまとめ・発表を兼ねたテーマにすれば、時間数不足も解消される。無料で、自校運用できて安心で、かゆいところに手が届くシステムは、そうそうないと自負している。
・→ 🔗 ソックサーガで作った、「ソックサーガの紹介Webアプリ」 → 🔗 ソックサーガの紹介(印刷用) → 🔗 「英単語の発音チェックアプリ+AI作曲」