ハダノ元教頭が GIGAスクール と DX人材育成 について考えるブログ

AIマンガ―4
イノベーションAICGDX推進STEAM教育教師のバトン思考法

AIマンガ―4

🕓 7/20/2024 ↻ 7/27/2024

 AIが高速で進化する中、今までできなかったことができるようになりました。文章生成AIや画像生成AIは、革命的なテクノロジーです。

 生成AI用PCの使い方にも慣れてきたので、だれもが楽しめる作品づくりにチャレンジしてみたいと思います。


 今回お届けするのは……

生成AIとパワポで4コマ漫画「ホテルに缶詰め」を作ってみた

ホテルに缶詰め1コマ目

ホテルに缶詰め2コマ目

ホテルに缶詰め3コマ目

ホテルに缶詰め4コマ目

メイキング ~ 基本方針 ~

  • DXやSTEAM教育に役立ちそうな小話を4コマ漫画に
  • ストーリー作成に文章生成AIを活用
  • 画像作成に画像生成AIを活用
  • フォトレタッチソフトで漫符などを追加
  • パワポでセリフを入れて4枚の画像として保存

、、、でしたが、前回と同じく文章生成AIは使っていません。教諭時代のできごとをもとにストーリーを組み立てました。

 画像生成AIの使い方にひねりを加え、キャラクターかわいらしさ一貫性 を追求しています。


メイキング ~ 画像生成 ~

キャラクターのかわいらしさは ちびキャラ で

 これまでは、リアル系の画像をそのままアニメ調にしたものが多かったと思いますが、新しいことに挑戦してみたくなりました。

 日本の誇る「カワイイ」表現手法に ちびキャラ(ミニキャラ)があります。2~3頭身にすることで、幼児のようなかわいらしくコミカルな印象を与えられます。また、「表情豊かに見せられる」「全身のポーズを表現できる」「シルエットがまとまる」という特徴があります。

ちびキャラたち

を参考に、 nachoneko-chibis, helloQ3, KayWaii などのちびキャラに適したモデルを新たにダウンロードしました。

 プロンプトに chibi を入れるだけで、ちびキャラが生成されます。「ちび」が世界共通語なんてビックリです。


キャラクターの一貫性は ControlNet で

 🔗【まとめ】AI作画ツールは、思ったより役に立つ で、「AIで漫画を作ると、キャラクターの一貫性を保つのに苦労しそうです」と述べました。

 この問題の解決策として、

  1. Seed値の固定:プロンプトを少し変える程度なら似たものが生成されるが、🔗ガチャ を回せないのが欠点
  2. LoRAの自作:追加学習に時間と労力がかかってたいへん → 🔗既存のモデルに新たな画像を追加学習させた LoRA のファイル を自作
  3. ReActor:高速かつ高精度に顔の入れ替えができる → 🔗画像も動画も!ディープフェイクするならこれ一択【ReActorの完全ガイド】
  4. ControlNet:似た顔や特定のポーズなどある程度思い通りにできる → 🔗AIイラストをコントロールできるControlNetの網羅解説

、、、などがありますが、今回は主に 4.ControlNet を活用してみました。


 モデルは KayWaii を使い、以下のプロンプトで img2img生成 してみました。

chibi, anime, (black_hair:2), wavy mouth, 
A black-haired junior high school girl wearing a sailor uniform 
looks on with tears in her eyes.
ControlNet〔IP-Adapter〕で女子中学生

 ControlNetなしでも、プロンプト通りの画像が生成され、元画像と似てはいますがコミカルに見えます。

 ControlNet〔IP-Adapter〕を使うと、同一人物が泣いているように見えます。元画像のはかなげな雰囲気も再現されています。実に画期的です!

 ControlNetには、IP-Adapter のほかに、reference_only, Canny, Lineart, Scribble, dw_openpose, Inpaint などがあり、目的によって使い分けるとよさそうです。


メイキング ~ 中学生とのすれ違いあるある話 ~

 ハダノ教諭時代の実話です。同じようなやり取りをいろんな学校で経験しました。

脳内に存在することがわかった真の言葉のカテゴリー

脳の活動から導き出された生物学的なもの / Credit:clip studio . 川勝康弘

によれば、

  • ホテル【時空間】と缶詰【食べ物】は、遠いカテゴリー
  • ホテル【時空間】と缶詰め【状態】は、近いカテゴリー

なので、状態としての「缶詰め」という言葉を知らなければ、ホテルと結び付けることは難しいことがわかります。同じ理由で、「ゴマすり」も知りません。

 それにしてもあんまりだとは思いませんか。これが一般的な中学生の実態です。


能力不足で能力不足に気づけない

 「おたくの中学校ではどんな教育をしているんですか」という苦情がくるたび、平謝りしつつも「察してください」という気持ちになります。体は大人に近づいても、中身は未熟です。だまされてはいけません。教育しようにも、言葉も常識も通じないことだらけなのです。

 特に困るのが、「能力不足で能力不足に気づけない」問題です。「君たちはもっと○○を頑張るべきだ」と一斉指導すると、ちゃんとできている生徒ほど真剣に受け止め、できていない生徒は他人事として受け流しがちです。いろんな役員選出でも適任の生徒ほどしり込みし、できそうもない生徒がやりたがりがちです。

能力不足で能力不足に気づけないとミスマッチが起きる

 この問題は、将来の進路にもかかわってきます。 → 🔗仕事ができない人ほど「なぜか自己評価が高い」納得の理由とは? → 🔗ミスマッチとアンマッチの違い

 前世紀に 🔗ダニング=クルーガー効果 として報告されています。諸説ありますが、メタ認知 を鍛えて自己を客観視できるようになれば、解決できそうです。

 もし、解決しないまま大人になるとたいへんです。教頭時代、若い教員とのすれ違いに悩まされました。悪い意味で金八先生的で、自分の理想を追求して突っ走り、空回りします。

など、すっかり忘れてしまったかのようです。本人の教員としての成長を願って指導しても、「パワハラだ」と反発することさえあります。


【まとめ】AIマンガでも一貫したキャラクターを描き、漫画思考できる

 🔗「武器としての 漫画思考」は、漫画を仕事と人生にフル活用する方法が満載の本 です。

  • 漫画思考 = 今抱えている課題を、右脳と左脳をフル活用して解決していくこと、そして「実感を伴った学び」を得ることで成長のきっかけをつかむこと

と、定義しています。🔗マインドマップの全脳思考 にも通ずるところがありそうです。

 仕事にしても勉強にしても、「あのキャラクターだったらどう行動するだろうか」と投影して考えてみることが大切ということです。自分自身を上から俯瞰する メタ認知 が漫画を読むことで身につくと力説されています。

 AIマンガでも、今回のように ControlNet などでキャラクターの一貫性を保てば、投影しやすくなるでしょう。漫画思考に役立つのです。


 「漫画は読まないけど、漫画原作のドラマならよく観る」という人も多いでしょう。ただ、ここには落とし穴があるのでご注意を! → 🔗#なぜ原作改変は起こるのか アニメが人気になり実写が廃れていった理由がこちら

 原作に忠実という点では、アニメの方が安心です。話題のアニメ映画 🔗「ルックバック」 も漫画原作 ですが、実写化には向いていないと思います。小中高大と切れ目なく続く主人公2人の物語を、生身の俳優が一貫して演じるのは不可能に近いからです。AI動画技術の発展を待つしかなさそうです。

話題のアニメ映画「ルックバック」

 アニメファンの間ではやっているのが、「〇〇構文」です。

 「勇者ヒンメルならそうしたはず」などと考え行動することは、まさに投影・俯瞰による漫画思考の好事例です。

 「能力不足で能力不足に気づけない」問題の解決にも漫画・アニメは大きな力を与えてくれることでしょう。


漫画思考で世の中はもっとよくなる

 「日本のマンガ・アニメが広がった国では戦争が起こらなくなる。だから日本のマンガ・アニメを広げるべきなんだ」と やなせたかし は ちばてつや に語ったそうです。日本の文化が世界平和に貢献するというのは、なんともワクワクします。 → 🔗日本のポップカルチャー、推しまーす!

 また、「思考停止せず、自分で考えて行動することの大切さ」も漫画は教えてくれます。

などは、笑えないジョークです。先のことまで考えていないイノベーションは、かえって不幸をもたらします。「核のゴミ」の処分方法を定めないまま発電を開始した原子力発電所が「トイレなきマンション」と呼ばれるように……


 変化の激しい時代だからこそ、漫画思考で俯瞰し、先を見通す必要があります。



※ 養老孟司氏の「マンガをもっと読みなさい―日本人の脳はすばらしい」が本書へのヒントになっているとのことです。
思考停止を招く「バカの壁」問題をどうしたものかと思っていたハダノにもたくさんの実践的なアイディアを与えてくれる本です。


※ 「武器としての漫画思考」の著者激推し漫画作品100選で紹介されているものです。
マンガ創作のようすが俯瞰で描かれており、まさに「漫画思考」に最適な漫画です。
マンガが好きな人もそうでない人も読む価値があるとハダノは考えます。


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教育DXブログの著者: ハダノ
ハダノ顔 Q大理学部生物学科数理生物学研究室にて分子進化学権威の宮田隆氏のもとFORTRANでDNA解析に没頭。F社のSEに内定していたが、科学のおもしろさを教えるため中学校理科教員を選択。
 新任のころから、「答えのない問題を追求させたい」「団結力と文化的な力を集団づくりで」「教育研究をもっと科学的に」「教育の情報化が必要」「チョーク&トークの注入式授業からアクティブラーニングへ」「教科横断的なSTEAM教育で生涯学習・SDGsへ」という思いを持ちつつ、4市10校にて勤務。
 9年間の教頭時代、さまざまな不条理・矛盾に悩み、ICTによる働き方改革を推進。2021年3月定年退職。「特定の学校だけでなく、広く人材育成を」「日本陥没をDXで食い止めたい」「元教員の自分にできることを」と、教育DX研究の道へ。
 おおいたAIテクノロジーセンター会員。デジタル人材育成学会・日本STEM教育学会・日本情報教育学会・データサイエンティスト協会・日本RPA協会の会員。JDLA G検定 2022 #1 合格者。
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