DX(データとデジタルによる変革)のうち特に重要なのは、AIによる意思決定・アクションです。ゆくゆくはAIによる業務自動化で人手不足が解消され、人はより本質的な仕事に集中できるでしょう。これこそが、真の働き方改革です。
「でも、AIなんて難しくて私には無理」とあきらめてはいませんか。どんな技術も「作る」のに比べて、「使う」だけならはるかに簡単です。高度なAI技術を手軽に使えるようにしたAIツールがたくさん出てきました。知らないうちに、手に届くところに来ているのです。
そんなAIツールを「ふだん使い」して、スイスイ仕事しましょう。
今回お届けするのは……
AI作画ツールでサクッと作る教室掲示物
0 受験生を励ます掲示物を作りたい
「ウサギ年、進路目標をぴょーんとクリアしてほしい!」と願っても、「そんな都合のいい画像はころがってない!」「自分で描こうにも絵心がない!」と、ありきたりのもので我慢してきました。
2022年になって、「DALL-E 2」「Midjourney」「Stable Diffusion」といった画像生成AIが多数リリースされました。テキスト入力から高品質な画像を生成できるため、急速に広まってきました。無料アプリもあるので、これを使わない手はありません。
⇒ 🔗AIお絵描きアプリ「AIピカソ」iOS版に続きAndroid版をリリース
1 だいたいの構想を立てる
- ポスターはB2横置き。
- 自然の中でウサギが斜め上に向かってジャンプしている。
- ウサギの目指す先には「希望」のようなものがある。
- 「2023」「飛躍の年」の文字を立体化して重ねる。
2 スマホアプリ「AIピカソ」にウサギを描かせる
- AIピカソに「ジャンプするウサギ」などとテキストを入力して画像を生成。
- 同じテキストでも「生成」ボタンを押すたびに違うテイストのものができる。
- テキスト次第でいろんな画像が作られる。
- 広告視聴により、無料で生成し続けられる。
- 「ハイジャンプ」というキーワードでは、陸上競技風の絵が多くなる。
- 検索して表示しているのではなく、モデルに従って描画している。
- 耳が3つあったり尻から脚が生えていたりと不自然なウサギもしばしば作られる。
- テキスト入力にはコツと根気がいる。
- 使えそうなものができたら、Google Keep で保存。やり方は → 🔗AIツールでスイスイ仕事術【最強メモアプリ Google Keep】。
3 「大きくジャンプするウサギ」をベースに加工する
- 元となるウサギ画像は、全身が大きく描かれ、耳の先と目以外不自然な部分のないものに決定。
- 元画像は、927ピクセル四方しかないので、🔗Upscayl というAIツールできれいに拡大。
- 画像処理ソフト(🔗Paint Shop Pro)に読み込み、加工していく。
- トリミング、明るさ調整のあと、ウサギが右上に動いて見えるように、「ぼかし(移動)」。
- 右上から希望の光が降り注いで見えるように、「照明効果(逆光)」。
- 加工は、元画像の良さを消さない程度に薄くかける。
4 パワポで文字を3-D化して重ね、仕上げる
- 「2023」「飛躍の年」の文字を3-D化し、それぞれ右上と右下に重ねる。
- やり方は → 🔗パワーポイントでサクッと作る3-D年賀状2023。
- 完成したら、プリンタのプロパティ-ページ設定-レイアウト-ポスター印刷-ポスター分割枚数2×2 でB4用紙横4枚に印刷。貼り合わせて掲示。
【まとめ】AI作画ツールは、思ったより役に立つ
教員の仕事は、多岐にわたります。ポスター作りには、教室環境の整備・目標の明確化・文化の向上という集団づくり上の大切な役割があります。おろそかにはできません。AIの助けを借りることで、少しでも忙しさが軽減されればと思います。
画像生成AIのようなクリエイティブAIの普及は、産業革命に近いものをもたらすでしょう。使う人と使わない人では大きな差が出ます。クリエイターの仕事がなくなることはないでしょうが、大きな影響は受けます。カメラが登場しても画家の仕事は続いていますが、DTPの発展によって写植工の仕事はなくなりました。「創造性」がカギになりそうです。
現在、プロのクリエーターが画像生成AIを活用するときは、「アイディアをもらう」ことが中心のようです。「創造の方向性が定まってないときに、自分が思いつかないものが出てくるのは面白い」「具体的な方向性があるときに、ねらい通りのものを出すのは難しい」と言います。今回のウサギでもこちらの予想の斜め上を行くものがたくさん出ました。AIで漫画を作ると、キャラクターの一貫性を保つのに苦労しそうです。
今のAI作画ツールはクリエイターの代わりにはなりませんが、いろんな気づきを与えてくれ、思ったより役に立ちます。いずれは、「クリエイターがアイディアを出してAIが完成させる」という未来もありそうです。創造性を磨くこととAIを道具として使いこなすことの両方が求められるでしょう。
※ ペイントショッププロは、ハダノがWindowsを使い始めてからずっと愛用しているフォトレタッチソフトです。
業界標準のフォトショップと機能面は互角なのにはるかに低価格です。
AI技術による写真補正機能もあり、重宝しています。
※ 月刊のCG・映像クリエイター総合誌です。
アニメ・特撮・SF映画等の制作舞台裏に関する詳細解説が魅力で、ハダノは時々購読しています。
2023年1月号はAI特集で、基礎知識から実践まで気になるAI技術の解説が満載でした。
※ SFマガジンは、大学図書館で触れ、卒業後ほぼ毎月購読してきました。ハダノの発想の源です。
2023年2月号は、特集「AIとの距離感」です。
画像生成AIによる表紙絵とAI絵本のイラスト、小説生成AIを使って執筆する企画、AIテーマの短編SFと盛りだくさんです。
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教育DXブログの著者: ハダノ
Q大理学部生物学科数理生物学研究室にて分子進化学権威の宮田隆氏のもとFORTRANでDNA解析に没頭。F社のSEに内定していたが、科学のおもしろさを教えるため中学校理科教員を選択。
新任のころから、「答えのない問題を追求させたい」「団結力と文化的な力を集団づくりで」「教育研究をもっと科学的に」「教育の情報化が必要」「チョーク&トークの注入式授業からアクティブラーニングへ」「教科横断的なSTEAM教育で生涯学習・SDGsへ」という思いを持ちつつ、4市10校にて勤務。
9年間の教頭時代、さまざまな不条理・矛盾に悩み、ICTによる働き方改革を推進。2021年3月定年退職。「特定の学校だけでなく、広く人材育成を」「日本陥没をDXで食い止めたい」「元教員の自分にできることを」と、教育DX研究の道へ。
おおいたAIテクノロジーセンター会員。デジタル人材育成学会・日本STEM教育学会・日本情報教育学会・データサイエンティスト協会・日本RPA協会の会員。JDLA G検定 2022 #1 合格者。