ハダノ元教頭が GIGAスクール と DX人材育成 について考えるブログ
AI、ブロックチェーン、IoT、スマートシティー、自動運転――これらのキーワードを目にすることが増えています。新しいテクノロジーを生かすためには、「社会実装」を進める必要があります。日々の暮らしに役立てられてこそ意味があるとの思いで、情報発信しています。
今回お届けするのは……
教員に限らず、子育てや介護の問題は、ワークライフバランスを考える上で大きな位置を占めます。特に「親の介護」は、子どものいない人にものしかかってくる問題です。
まずは、生成AIに相談してみましょう。
🔗ChatGPTは老いた親についても良いアドバイスをしてくれるのか?
を参考に、実際にChatGPTを使ってみました。
現在、最新のChatGPTを使う最も簡単な方法は、Microsoft Edge の Bing です。「何でも聞いてください…」のところに、「親の老いに備えるために、アダルトチルドレンがすべきことトップ3は?」と入力・送信してしばらく待つと以下の回答が出てきます。
【 WindowsPC 】
アダルトチルドレンが親の老いに備えるためにすべきことのトップ3は、以下の通りです:
……という回答は、先ほど参考にしたページとほとんど同じです。ただ、3.以降に追加の記述がありました(以下の通り)。
各家族の状況はそれぞれであり、これらのステップは個々の状況に合わせる必要があることを忘れないでほしい。高齢化の進展やニーズの変化に応じて、定期的な再評価と調整が必要である。
……3.の回答が3文から1文に減ったのは、アメリカと日本の差によるものかもしれないと思いつつ、iPadやAndroidのEdgeアプリでも試してみました。
【 iPad 】
【 Android 】
……なぜか、すべて1文となったうえに、内容も微妙に異なっています。どうしてこうなるかはわかりません。PCでも別の日は以下のような回答でした。
まず、認知症に触れていないのはダメな点です。
次に、「ファイナンシャルアドバイザーや高齢者法的支援の弁護士に相談する……」は、有料である以前に、日本では一般的な方法ではありません。
日本では、医療保険・介護保険などの制度が充実しています。事件・事故に対する警察・消防の動きも高い評価を受けています。病気・ケガ・認知症で医療や介護の対象になったり、特殊詐欺にあったりした場合は、相談先ははっきりしています。問題は、年を取るにつれ徐々に体や頭が弱っていく親の件で、「どこに相談したらいいかわからない」ことです。
例えば、骨折で入院していたけれど退院後は医療リハビリは必要なくなり、介護リハビリはまだ早い、介護予防のリハビリを受けられないか知りたい……というケースです。
介護予防に関する相談は、自治体の介護予防・相談センター、保健師、ケアマネージャー、社会福祉協議会などに相談することができます。また、厚生労働省のWebサイトにも介護予防に関する情報が掲載されています。
……この回答では、明日どこにいってよいかわかりません。厚生労働省のWebサイトの介護予防に関する資料を見ると、地域支援事業の中に「地域包括支援センターの運営」というものがありました。詳しく調べると、
地域包括支援センターは、地域の高齢者を支えるために「介護予防ケアマネジメント」「総合相談」「包括的・継続的ケアマネジメント」「権利擁護」の4つの業務を行っています。地域包括支援センターは、市町村が設置しており、全国で5,404か所が設置されています
……ということで、やっと目的のものにたどりつきました。実は、「地域の高齢者」というキーワードをプラスし、「地域の高齢者の介護予防についてどこに相談したらいいか」と質問していれば、
地域の高齢者の介護予防については、地域包括支援センターに相談することができます。地域包括支援センターは、地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行い、高齢者の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的としています
……という回答だったのです。「総合相談」というキーワードを入れた場合も地域包括支援センターが出てきます。つまり、知識を持って質問すれば望みの回答が出るようです。知らないから教えてほしいのにこれは矛盾です。あくまでも統計にもとづいて次に来そうな言葉を予測・配置してもっともらしい回答をしているだけということがわかります。
ネット通販サイトで、多くの人が買う商品はおすすめに出てきやすいが、マイナーな商品は名前や特徴を知らないとたどりつけないというのと似ています。
🔗地域包括支援センターは対応がひどい? 不満の声が上がる原因や実際の体験談まで詳しく解説
というWeb記事を読んでいたので、地域間格差を心に留めていました。実家(県都)の両親のときのような丁寧な対応は無理だろうと覚悟して、最寄りの地域包括支援センターに相談に行ってみました。
予約なしに訪れたのにすぐに担当者と話を始めることができました。しかし、「知識を持って質問すれば望みの回答が出る」という原則は、人間相手でも同じだったようです。
最初はなかなか話がかみ合わず、ChatGPT と話しているようなもどかしさを感じていました。「地域包括支援センターの介護予防事業で、訪問リハビリと通所リハビリ教室があると聞いたのですが……」と水を向けると、奥に引っ込んで職員同士で何やら相談を始めました。しばらくして、それらが含まれたサービス一覧のパンフレットを持ってきてくれました。おそらく、この地域では利用例の少ないマイナーな相談だったのでしょう。
後日、担当者が自宅に訪問し高齢者本人の状態と意思を確認の上、ふさわしいサービスの申し込み手続きへ……という運びとなりました。
偶然にも担当保健師のNさんが二十数年前に担任した教え子だったのですが、「先生、地域包括支援センターによくたどり着きましたね」と感心されてしまいました。市のWebページで少し紹介されている程度で、毎月の市報でもほとんど見かけません。「こんなすばらしいものが知られてないなんてもったいない」「もっとPRすればいいのに」と感じました。
病院の作業療法士のTさん(妻の教え子)のすすめで、父の退院までに寝室と勝手口の環境整備をすることにしました。
父は、自宅では布団を使っていました。起床時に腰椎に負担がかからないよう、ベッドに替えることをすすめられました。電動ベッドを買った方がよいか聞くと、「電動はとても高いので介護認定を受けてからでよい」とのことで、普通のベッドを探し始めました。
ところが運よく、🔗電動リクライニングベッド の手ごろなものが見つかり、ネットで注文したら5日後に届きました。
安さの秘密は、ユーザーが組み立てをすることで設置費用を省いていることです。といっても、キャスターやサイドグリップを付属の工具でねじ止めするだけなので簡単です。
リモコンでリクライニング角度がゆっくり変わっていきます(最大70度)。
まるで卓球台のように簡単に折りたため、移動したりすみに片付けたりできます。
マットレスもヘッドフレームもサイドグリップもついているので、追加購入したのは 🔗キズ防止用の床保護シート ぐらいです。
父の寝室は畳ですが、これを敷いておくとへこみが防止でき安心です。
ハダノ家の玄関はお客様用で、家族は勝手口を使います。車庫から居間へ直通ですが、地面との段差が40cmもあり、高齢者には危険がいっぱいです。
「上がりがまち」に一旦腰かけてから靴の着脱と昇り降りをするしかありません。左には手すりがありますが、右にもほしいところです。
まず、万一の落下や転倒に備え、土間と柱にクッションを取りつけます。土間には 🔗厚手のヨガマット を敷き、柱には 🔗ベビーコーナーガードクッション を貼ります。
右の手すりは、介護用の改造工事関係で検索すると大がかりなものしか出てきません。父の状態に合わせて調整可能なものはないかホームセンターでうろうろしていて、「4点支持の杖が使えるかもしれない」と思いつきました。これなら高さ調整ができるし、設置場所も自由です。
あとは、固定方法の工夫です。ハダノは、スポーツパパより工作パパだったので、腕の見せ所です。
工具ぶらさげ用フックと配管工事用部品のどちらがいいか考えた末、組み合わせて使うことにしました。
教頭時代に使っていた工具の他に必要になりそうなものを買いました。
配管工事用パーツを斜めに切る必要があります。プラスチックは熱で切っていましたが、今回は変形を防ぐためにのこぎりを使います。🔗ピラニアの歯をまねて作られたのこぎり「ピラニアII鋸 PS-1」 は、驚くほどよく切れました。精度の必要な工作などいろいろ使えそうです。
工具ぶらさげ用フックをねじ止めするため下穴をあけます。キリでは小さすぎるし、電動ドリルも持っていないので、🔗万能スクラッチアウル を金づちでたたいてあけました。太い木ねじもちゃんと使えました。
加工した配管工事用パーツをかちっとフックにはめて、六角ボルトとナットを締めます。🔗万能ソケット とレンチがあれば、締めたり緩めたりが自在です。
最後に、繰り返し使える結束バンドをかけて手すり工事完了です。杖は固定され、びくともしません。
入院中に薬の量が増えたため、管理がたいへんになっていました。母が使っていたお薬カレンダーがあるのですが、ひとますの幅が狭くて使いづらく感じます。
百円ショップに行くと、1か月カレンダーはありますが、ピッタリのものがありません。セリアの「ウォールポケットクリア21」は、横に3つ縦に7つのポケットが並び、「カードなど小物の収納に最適」とあります。一見ただの無色透明なビニールですが、改造すれば使えそうです。
🔗手作りステッカー で曜日と朝夕の表示をすればいいと気付きました。昼は真ん中の列なので、間違えようがありません。
居間の壁に取り付けてみると、なかなかのできです。薬の管理が楽しくなりそうです。
介護予防リハビリに通うことになり、上履きが必要になりました。なるべくかがまずに履けるものはないかと探していたら、あるスニーカーが目に留まりました。
これは、なんちゃってひも靴でマジックテープもなく、足がするっとはいってしっくり収まります。まさに「🔗スパっと履けるスパットシューズ」 です。やや重い感じですが、作りがしっかりしていて、トレーニング向きだと思います。
白紙の状態でAIや行政に丸投げしても望む回答は得られません。「どこに相談したらいいかわからない」問題は深刻です。
地域包括支援センターを上手に利用すれば、高齢者のさまざまな問題に対して横断的・包括的にサポートしてもらえます。「総合相談」というのは、とても安心できる言葉です。「まずは地域包括支援センターに相談すればいいんだ」「あとは必要に応じて関係各機関につないでくれる」と確信がもてました。
ハダノは決心しました。
「どこに相談したらいいかわからない」迷える人々を一歩先行くICTで支援し、幸せづくりに奉仕しよう……と。
テクノロじいやに 私はなる!!!