ハダノ元教頭が GIGAスクール と DX人材育成 について考えるブログ
「ICT活用で教職員の働き方改革というけれど、忙しすぎて覚える時間がない」という笑えない実態が学校現場にあります。落ち込んでいても仕方ないので、あえて笑い話にしてみたのが「ICTあるある」です。
今回お届けするのは……
文書を送る手段は、郵便、FAX、メールといろいろ選べるようになってきました。LAN用メッセンジャーソフトやモバイルメッセンジャーアプリを使えば、より手軽に送ることができます。
学校が外部と文書のやりとりをする場合、メールを使うことが多いのですが、管理職以外はあまり機会がありません。校内なら共有フォルダ、市内ならLAN用メッセンジャー等で済むからです。保護者あてのメール配信もたいていは教頭の仕事です。
中3の学年主任は特別です。高校とのやりとりでメールを使う機会がたくさんあります。何年かぶりにメールを使ったら、ふだん使っているメッセンジャーと勝手が違うと感じるかもしれません。
前の学校の職員から、SOSの電話がありました。
結局、「送信ボタン押し忘れ」と「メールアドレス打ち間違い」という2つのミスが重なっていました。
🔗ネットワーク分離のせい(ICTあるある―1より)で述べたように、2016年以降インターネット接続可のPCで校務をほとんどしなくなったことが最大の原因です。メッセンジャーに慣れてしまうと、電子メールを使うのがおっくうになるかもしれません。もちろん、メールぐらいできるようになった方がいいとは思います。
また、高校側の連絡手段や書式がバラバラなのも困りものです。FAXあり、メールあり、フォーム送信あり、添付ファイルもワード・エクセル・PDFとさまざまで書式もそれぞれ異なるという具合です。いろんな高校に送っているうちにミスがでてもおかしくありません。せめて、県立高校は統一してほしいところです。
学校だけでなく中小企業も困っているようです。🔗約8割の中小企業が受発注にFAXを使用 DXが急務な中でもやめられないワケ(ITmediaビジネスオンライン) によると、
ということからFAXが使われ続けているようです。
1.は、学校でも同じ状態です。市役所関係は、メールOKの場合もありましたが、県関係はFAXのみの指定が多かったと思います。
2.は、非正規の教員のメールアドレスは年度ごとに県に申請をしなければならず、教頭によって差が生まれていました。情報共有をどれだけやるかで、その学校の組織としての力が決まると思います。また、「教員が生徒や保護者とメールのやりとりをすると、セクハラや不適切な関係に発展する」として禁止されているのも学校特有の問題です。学習指導以外にさまざまな業務を抱え、コンタクトを密にする必要に迫られているのに、電話かプリントのみです。メールが使えれば時間短縮できます。
3.は、ペーパーレスを本気で推進しないとよくなりません。教育課程の印刷・製本を提出分と保管分だけにするところから始めるとよいと思います。職員・生徒・保護者へのアンケートは、Forms で作ってメールで送れば、簡単に回答・集計できるので便利です。なぜ使わないのか不思議でなりません。
進路指導はいつの間にか理念や目標がすっ飛んで、多くの中学校でどこの高校を受験・合格させるかといった出口指導になりました。だから子どもは小学校から高校まで1万2千時間も学校で過ごしているのに、「将来の生き方や自分に向いた仕事がわからない」と言います。
そこで、もう一度原点に戻るために、「キャリア教育」という新しい概念が打ち出されたようです。小学校1年生から学校教育の中心的な指導として、進路や職業について理解させ、将来の生き方や仕事の選択能力を育てようというねらいが込められています。
社会の変化の速さにキャリア教育が追いついているかといえば、疑問です。また、中学校だけで完結するはずはなく、小・中・高一貫してキャリア教育を進めていく必要があります。さらに、大学、企業へとつながっていってほしいものです。
今の就活でもっとも重視されるのが「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)です。しかし、コロナ禍でサークル活動もアルバイトも満足にできず、「ガクチカに書くことがない!」というのが、就活生の悩みです。そんな中、採用選考でもっと学業を重視しようという動きが出てきました。 → 🔗ガクチカに「学業」ってあり? コロナ禍で重視する企業続々(朝日学情ナビ)
「何だ、この逆立ちした状況は!」と怒り、驚いたのは、ハダノだけではないでしょう。学業に力を入れた学生が正当に評価されない社会でよいはずがありません。一所懸命教育して送り出しても、社会に生かされないのではむなしくなります。もっと社会を知り・つながり・変えていくということを意識してキャリア教育を進めたいものです。