ハダノ元教頭が GIGAスクール と DX人材育成 について考えるブログ
GIGAスクールはうまくいっていますか? デジタルの進歩についていくのがたいへん、これ以上仕事をふやさないでと悲鳴をあげていませんか?
そんなあなたと、「未来の教室」について考えていきましょう。未来が子どもにとっても教員にとっても明るいものとなりますように…
小学校は、1~6年生という幅広い年数の児童を教育します。高学年児童向けの実践例は少しずつ蓄積されてきました。しかし、それを低学年にそのまま適用することはできません。「低学年iPad問題」はGIGAスクールの難問です。
、、、など、iPadに子守させる「デジタル育児」には問題があります。 → 🔗4歳でiPad中毒も--乳幼児のスマホ・タブレット利用の危険性とは → 🔗スマホ育児とは?子供への影響は?やめたい?後悔したときの対処法とは?
と、ITの専門家も指摘しています。 → 🔗ひろゆきが断言「我が子には絶対にiPadを買い与えるな!」
特に、OS の違いには要注意です。Windowsタブレット は、手に持って操作できるPCですが、iPadは、でっかいスマホにすぎません。
、、、小学生は、学年による発達段階の差が大きいので、要注意です。 → 🔗【9歳の壁】形式的操作期(ピアジェ)が始まる年齢|抽象概念を理解する年齢
ハダノには、小学校低学年の担任はとても務まりません。小学校の先生方には頭が下がります。
、、、日本のいちばんの問題はここです。 → 🔗ゲーム&チャットは1位で学習は最下位…日本の15歳のICT活用の実態 | リセマム → 🔗学ばない国、日本。|島田慎二
「発展途上国」と見下している国の子どもたちが、デジタル機器を学びに活用してグングン成長しているのを知らないのは、日本人だけかもしれません。「iPadで遊んでばかりで何が悪いの?」にちゃんと答えられる大人がどれだけいるでしょうか。
、、、については、当ブログでも再三述べてきました。Apple社の囲い込み戦略は、日本で大成功しました。そのため、この問題のおかしさに気づく人は少ないようです。「オシャレで高性能なApple」というブランドイメージに流されてしまうのは、思考停止する方が脳にとっては省エネになるからです。 → 🔗「脳の闇」
ハダノは、AndroidスマホもWindowsタブレットも持っていますが、それらで普通にできる基本操作が、iPadではできなかったり非常に煩雑だったりして悲しくなります。
そもそも、タブレット本体は世界中のさまざまなメーカーによって作られているのに、iPadはApple製のみです。ハードウェアもソフトウェアもApple秘密主義のベールに包まれているので、攻撃されにくい利点はあるものの閉鎖的です。
、、、を読むと、Appleとは対照的なGoogleの姿勢がわかります。ブラウザに関して言えば、MicrosoftのEdgeも、オープンなChromiumをベースにしたものに変わりました。AppleのSafariは、セキュリティの高さを売りにしていますが、Apple製品以外では動きません。
メーカー〔OS〕 | 本体製造企業 | オープン度 |
---|---|---|
Microsoft〔Windows〕 | 多数 | 〇 |
Google〔ChromeOS〕 | 多数 | ◎ |
Apple〔iPadOS〕 | Apple社のみ | × |
「異常でも理不尽でも、多数派なら許される」というのはいかがなものかと思います。「ファイルを送りたいなら、AirDropを使えば簡単だよ」などと言えるのは、Apple製品同士に限られます。WindowsもAndroidもChromeOSもAirDropは動作しません。より標準的な方法でファイルを扱います。
したがって、iPad活用においては、できるだけ標準的な使い方を心がける必要があります。プレゼンなら、AppleのKeynote ではなく、MicrosoftのPowerPoint や Googleスライド を使うべきと考えます。手軽さに惑わされず、データの互換性や将来のことを考えたいものです。
、、、児童福祉機関である保育園のように、「まず養護」という場合であっても、iPadは不向きです。 → 🔗保育における養護とは?ねらいや内容を解説
教員でも、「子どもがかわいそう」という気持ちがつのると、ついつい「養護」に傾いてしまいます。
行事のねらいで、
、、、など、子どもを喜ばせるサービス精神が見られることがよくあります。
「子どもを幸せにしてあげる」よりも「幸せになれる力をつける」ことが大人の役目ではないでしょうか。
低学年の活動として有望な「お絵かき」を例にとります。
インストール不要で使えるWebアプリ「BeFunky」で「ぬりえ」をするとします。
活動の説明を文章にすると、、、
できるだけ低学年にわかるように表現しようとしても、限界があります。アプリ自体に使われている漢字は変えようがないし、英語(カタカナ)や数字がずらずら出てきます。数学の「集合」や「論理演算」になじみがないと、大人でも完全には理解できないでしょう。
異学年交流できれば、高学年に助けてもらうという手があります。お膳立てを高学年がやって、低学年は塗るだけにするのです。
ハダノの育った地域では、小学生が遊ぶときに低学年だけ特別ルール(つかまっても鬼にならないなど)を適用していました。「一緒に遊ぶとついてこれないから」と低学年を排除するのではなく、特別ルールで参加・体験させるという知恵です。近県で「ままこ」「すぼんこ」「あぶら(むし)」などと呼ばれていたようです。
考えてみれば、「ボーリングのガーターなしレーン」「自転車の補助輪」「浮き輪」「ままごと」などにも同じ発想が見られます。
「低学年に水遊びさせたいだけなのに、なんと面倒くさいことを……」と誤解されているかもしれません。しかしiPadを使うのは、「低学年用プール」ではなく「海」です。相当の見通しと準備・指導がなければ、「情報の海」に飲み込まれてしまいます。
、、、などの実践報告を読んでも、解決までの道のりは遠いと感じます。かなり限定された条件で成立する実践だと思うからです。
それでも、何とか解決の糸口を見つけていきたいものです。
みなさんの実践例やご意見をお寄せいただければさいわいです。
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