ハダノ元教頭が GIGAスクール と DX人材育成 について考えるブログ
この記事では、授業配信アプリ「ソックリッカー」を活用するとなぜ授業改善ができるのかを解説します。想起練習、知識の活性化、学びの責任の移行、同調圧力なしでの見取り…など、エビデンス(科学的根拠)に基づく教育に取り組んでみませんか。
もし、赤ずきんが大人におんぶされて1週間連続おばあさん宅を訪問しても、後日ひとりで行けるかは怪しいものです。本人は「何度も行ってるから大丈夫」と思っても、自分で苦労して道を記憶していないので迷うに違いありません。
何度も迷ってやっとたどりつくことを時期をずらして何回か経験するうちに、ひとりで行けるようになります。
学習も同じで、連続で同じ文章を読んでスラスラになっても、その記憶は一時的・表面的なものに留まります。
「忘れたころに思い出させる」ことを期間をあけて繰り返すことでやっと記憶は定着します。
授業の中でときどきクイズをすれば、想起練習(忘れたころに思い出させる)ができ、学力が向上します。
ソックリッカーを使えば、楽しくクイズができるのです。
新学習指導要領の三つの視点のうち、
ア 「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」(コンピテンシー:汎用的スキル)
ウ 「知識・技能」(コンテンツ:教科等に固有の知識や個別スキル)
は、ともすると分離・対立しがちです。
この2つを有機的に結び付けるのが
イ 「見方・考え方」(教科等の本質に関わるもの)
であり、これを働かせることでバラバラの知識を統合して活性化された知識(概念)へと高められます。
活性化された知識では、条件節IF と行為節THEN が対をなしており、行為節の知識がどんな場合に活用可能かは条件節の中に明示されています。
従来の学校教育では、条件節の指導を軽視し、生きて働かない知識にとどまりがちでした。
近年、英語の指導でよく言われるオーセンティックな学習(真正の学習)では、条件節の部分を実生活で出会いそうな場面にすることで 本物の実践に近づけます。
「単なる知識→知識を含んだ能力」へ 転換するには、クイズにも工夫が必要です。
demo先生の例を参照…
10.知識Q 低いギアに変えることによるブレーキは? フット…、サイド…、エンジン…、排気…
11. 能力Q エンジンブレーキを使う場面は? 雪道、長い下り坂、市街地、駐車時
もちろん、場面を答えて終わりにせず、理由を出し合えば議論が深まります。
票数の少ない方から理由を述べさせると、多数派に押されて意見を言いにくいということが防げます。
①焦点を絞った指導(教師)、②教師がガイドする指導(教師+生徒)、③協働学習(生徒たち)、④個別学習(生徒個人)の4つの要素を意識し、子ども主体の学びに変えたいものです。
従来の授業は、ほとんど①→④でした。アクティブラーニングで③に力を入れても、他の3つが弱いと、「活動あって学びなし」となります。②は、TT・ 習熟度別や特別支援など教師を増やしたときぐらいです。
特に②で必要となるのが、生徒の理解度の正確な見取りです。周りの生徒につられて挙手したり、笑われるのを恐れて意思表示しなかったりと、見取りは簡単ではありません。自己評価させても、メタ認知力の問題(能力不足で能力不足に気づかない)で不正確になりがちです。
これは、多数派に合わせてしまう🔗 「同調」についての実験からも明らかなように、深刻な問題です。🔗 いじめも「同調」から生まれると考えられます。最近の研究では、🔗 子どもはロボットの意見でも従ってしまうことが判明しました。
脳科学的には、🔗 ミラーニューロン(他人の言動を鏡のように自分に置き換えて反応する脳細胞)の働きとも言われています。ミラーニューロンの「まねる」機能は、「学ぶ」の基礎だけに敵視することもできずやっかいです。「いいことだけをまねてくれれば…」という願いは、いつも裏切られます。
「主体的」と「学ぶ」を両立させるのは困難です。「自己決定・自己存在感」と「共感」を両立させるのも困難です。このジレンマを解決する手立てが必要なのです。
ソックリッカーは、同調圧力なしで匿名投票でき、素早くクラス全体の回答分布を得ることができます。匿名性は完全で教師にも知られません。成績を気にせず回答できるのも、小テストより優れている点です。もし秘密投票のチェックをはずせば、投票過程を見える化できます。しかし、クリックしたタイミングで投票がばれたり、先に投票した分の同調圧力を受けたりする恐れがあるので注意しましょう。
投票中にほかの子が覗きこまないよう配慮すべきです。