ハダノ元教頭が GIGAスクール と DX人材育成 について考えるブログ

60過ぎの素人が4カ月でAIの資格を取るためにしたこと
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60過ぎの素人が4カ月でAIの資格を取るためにしたこと

🕓 5/20/2022 ↻ 5/26/2022

 「AIの重要性はわかるけど、とっても難しそう」「素人が独学でAIの資格を取れるの」「もう若くないから勉強はしんどい」としり込みしている方も多いと思います。

 この記事では、ハダノが日本ディープラーニング協会のG検定を受けてみた感想と、実際に役立ったおすすめの本2冊を紹介します。


「AI時代に対応した教育」というけれど……

 ハダノは、県教委から「新教育課程説明会」中学校理科説明者に指名され、2年間2つの市で活動しました。

 当然、総則の趣旨を踏まえて説明しました。新学習指導要領の「学習指導要領改訂の経緯及び基本方針」には、次のように謳われています。


  • 人工知能(AI)の飛躍的な進化などの技術革新等により,社会構造は大きく変化しており,予測が困難な時代となっている。
  • 人工知能が自ら知識を概念的に理解し,思考し始めているとも言われ,雇用の在り方や学校において獲得する知識の意味にも大きな変化をもたらすのではないかとの予測も示されている。
  • このような時代にあって,学校教育には,子供たちが様々な変化に積極的に向き合い,他者と協働して課題を解決していくことや,様々な情報を見極め知識の概念的な理解を実現し情報を再構成するなどして新たな価値につなげていくこと,複雑な状況変化の中で目的を再構築することができるようにすることが求められている。

 要するに、「AI時代に対応した教育」をめざしているというのです。しかし教員は、肝心のAIがどういうものかはわかっていません。理・数・技の教員でも、わかった気になっているだけでしょう。これでは、新学習指導要領の具現化は困難です。「AI時代に対応した人材」を世に送り出すことはおろか、キャリア教育さえまともにできない学校になってしまいます。


AIについて学んでみよう

 生き残りをかけて、社員にAIの資格を取らせる企業が増えているようです。中でも、日本ディープラーニング協会のG検定が人気です。ハダノも挑戦してみようと思い立ちました。

G検定受験準備

自宅のネット環境を改善

docomo home 5G HR01

 G検定は、自宅でオンライン受験です。ハダノが住んでいる市は、光回線エリア外(将来も予定なし。NTTに確認済み)のため、ADSLで接続していました。最高10Mbps、休日などは1~2Mbpsまで落ち、しばしば切れるという悲惨な状態でした。「光は来ないし、5Gを待つか。田舎は後回しだろうなあ」と思っていたら、2021年夏に出た 🔗docomo home 5G HR01(5G対応ホームルーター)が、「4Gでも十分使える」と好評でした。

 10月はじめに home 5G をゲットしました。休日でも150Mbps前後出るようになり、来年のG検定を受けようと決心しました。

教材を選定

 教師の悲しい性で、教科書と問題集がほしくなりました。ネットでいろいろ調べた結果、定評のある2冊に決めました。

 「参考書とノートはいいの?」という心の声に対しては、「とりあえず参考記事はネットで検索し、ノートはマインドマップで」というスタンスでした。

11月からG検定の勉強

 本格的に勉強を開始したのは11月からでした。2022年3月5日まで4か月です。前半に教科書、後半に問題集、ざっくりとページ数を割り当ててかかりました。教科書の章末問題|問題集 の正答率は、以下のようになりました。


               教科書 | 問題集

  1. 人工知能とは          5割 |10割
  2. 人工知能をめぐる動向      4割 |10割
  3. 人工知能分野の問題       7割 | 9割
  4. 機械学習の具体的手法      7割 | 7割
  5. ディープラーニングの概要    5割 | 8割
  6. ディープラーニングの手法    6割 | 7割
  7. ディープラーニングの応用に向けて7割 | 7割

 細かく見ると、4.の中で「教師あり学習の代表的な手法」が5割、6.の中で「CNN」4割・「深層強化学習」1割、7.の中で「自然言語処理」が4割の正答率であり、苦手分野が偏っていました。本番の出題数は、5.6. > 7. > 4. >2. > 1.3. とされているので、この苦手分野は見過ごせません。このままでは不合格です。

 中学校の理科教員でSF好きで、プログラミングを趣味でやっていても、AIの勉強に有利とはいえません。先入観を捨てて一から学ぶ必要があると痛感しました。

マインドマップで頭の中を整理

 Google の coggle は、オンラインでマインドマップが作れて便利です。基本無料で、曲線が美しい枝の色を変えたり、リンクを貼ったりできます。AI関係は、耳慣れない用語や紛らわしい用語が多くてたいへんですが、マインドマップにするとすっきりします。自分の苦手分野は、詳しく調べて書き込みました。

 「これはどういうことなんだ!」という問題にぶちあたっても、よく見るとほとんど教科書に書いてありました。「基礎基本が大切」と生徒には言ってきましたが、11月の自分に言ってやりたくなります。

AIのマインドマップ

G検定本番

 13~15時の120分間で、191問もあります。「自宅受験なら、うろ覚えでも検索したり本を見たりできるから楽勝だ」と考えていたら撃沈します。

 4択ですが、単純な暗記問題は少なく、考えたり計算したりしているとすぐに時間がたちます。あとで解こうとチェックしておいた問題は、見返すことはありませんでした。あと数問を残して時間切れとなりました。検索なんてしている時間はありません。マインドマップを見返して確認するのが関の山でした。

 🔗バッハの平均律(桑形亜樹子さんのチェンバロ)をずっと流しながら、落ち着いて受験できたことが、自宅受験でよかった点です。バッハは本当に心が整います。


G検定受験結果

 3月17日にメールで結果がきました。6,760名中4,198名の合格者の仲間入りができました。

jdlalogo
※総合得点率、設問個別の正解・不正解、本試験の合格ライン等は開示しておりません。
あらかじめご承知おきください。
 

 分野別得点率は教えてくれました。1.2.3.が8割、4.が9割、5.6.が8~9割、7.が7割のできでした。苦手分野の補強が何とかうまくいったようです。数理・統計が5割しか解けなかったのは、時間のかかりそうな計算をとばしたせいもあるでしょう。


結局、「AI時代に対応した教育」は……

 G検定を受けて、いろいろな気づきがありました。いちばんは、「自分はAIのことをほとんど何も知らない」ということです。さらに学び続け、教育DXという形で社会実装していきたいと思います。

 さいわい、G検定・E資格の合格者のみが参加できるコミュニティ「CDLE」への加入資格が与えられたので、活用していくつもりです。3月26日「CDLE DAY 2022【春】CDLEメンバーの文化祭&懇親会にも参加してみました。合格者は20代30代が多く、60代は極少数派でした。若い人の中には、「CDLEで学びたいから、G検定を受けた」という人もいて、熱気にあふれていました。こんな若者たちの芽をつまない学校教育でありたいと思います。



※ 2021年10月から使っていますが、非常に安定しています。速度制限のようなものも感じません。
ハダノのように光回線が使えない場合の救世主として強くおすすめします。


※ G検定対策の定番の教科書です。基礎基本から丁寧に書かれています。
ハダノが難問で困ったときも、「あれ、ここにちゃんと説明があるやん」ということばかりでした。
G検定を受けなくても、AIについて知りたいなら持っておいて損はありません。


※ G検定対策の定番の問題集です。
多彩な問題、図解を多用し深掘りした解説、さらに用語解説もついており、とても実戦的です。
ハダノは最初打ちのめされましたが、弱点補強に努めるうちに「深い学び」へと誘われました。


※ ハダノが持っているのは、写真のようなピアノ版ではなく、桒形亜樹子演奏のチェンバロ版の第1巻です。急速なテンポや12等分平均律による音律を見直し、新解釈によるバッハ演奏を提示しています。まだハイレゾ録音が多くないこの名作を、最高の音質と演奏解釈で味わえます。
音源はわりとすぐ廃盤になってしまうので、欲しいときに手に入れないと後悔します。

教育DXブログの著者: ハダノ
ハダノ顔 Q大理学部生物学科数理生物学研究室にて分子進化学権威の宮田隆氏のもとFORTRANでDNA解析に没頭。F社のSEに内定していたが、科学のおもしろさを教えるため中学校理科教員を選択。
 新任のころから、「答えのない問題を追求させたい」「団結力と文化的な力を集団づくりで」「教育研究をもっと科学的に」「教育の情報化が必要」「チョーク&トークの注入式授業からアクティブラーニングへ」「教科横断的なSTEAM教育で生涯学習・SDGsへ」という思いを持ちつつ、4市10校にて勤務。
 9年間の教頭時代、さまざまな不条理・矛盾に悩み、ICTによる働き方改革を推進。2021年3月定年退職。「特定の学校だけでなく、広く人材育成を」「日本陥没をDXで食い止めたい」「元教員の自分にできることを」と、教育DX研究の道へ。
 おおいたAIテクノロジーセンター会員。デジタル人材育成学会・日本STEM教育学会・日本情報教育学会・データサイエンティスト協会・日本RPA協会の会員。JDLA G検定 2022 #1 合格者。
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